12月半ばの満月の晩のことでした。5日前に子供達が作った雪だるまが、銀世界の中で大きなくしゃみをしました。
「うぅっ、寒いや。体の芯まで凍りそうだ。」
そうつぶやきながら辺りを見回し、遠く離れた立木のそばに太い折れ枝が落ちているのを見つけると、雪の上を滑るようにして駆けていきました。そして、折れ枝に向かって、やはり枝で出来ている自分の右手をかざすと
「あーぶらー、ほいっ。」
小さく呪文を唱えました。その瞬間、雪だるまの右手から小さな稲妻が走り、折れ枝にポっと火が着きました。しかし、燃え上がった小さな炎は、わずかな煙を残してすぐに消えてしまいました。それを見ていた雪だるまは、頭の上のプラスチックの青バケツをかぶり直し、両腕の枝を大きく天に広げ、再び呪文を唱えます。
「あーぶらー、ほほいのほい!」
今度は、耳をつんざくような大きな音と共に両手から稲妻が走り、折れ枝にボワっと炎を立たせました。
「これで、よし。」
暖かさに気分が安らいだのか、たき火に手をかざしている雪だるまから自然と鼻歌が聞こえてきます。先ほどの呪文で後ろの立ち木も燃え上がっている事に気づくのは、もう少し背中の雪が溶けた頃になりそうです。
(2004.12.3)
この作品は2004年の『クリスマス・パレード』に参加しています。
条件:
1)タイトルが『スノーマンは眠らない』
2)文字数制限 500字以内
2005年09月19日
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