「オー、アレハナンデスカ?」
ジェームズが駅前の派出所の方を指さしながら、珍しいものを見つけた時の嬉しそうな声を上げた。その指先には七夕の笹飾りがあった。
「七夕飾りだよ。もうすぐ七夕だからね。」
派出所の前に飾ってある笹に向かって歩きながら、ジェームズに七夕の話をかいつまんで教えてやる。彦星と織り姫が離ればなれになったいきさつや、年に一度の取り決めなどを。
しかし、ジェームズの日本語力では私の話がどこまで分かったか。話の途中で珍しそうに吊された短冊を読み始めた様子から、よく分からなかったのではないかと思う。短冊は子供が書いたものらしく、ほとんどが平仮名で書いてあり、こちらはジェームズでも読めるようだった。
「日本ノ子供タチハ、ミンナ大キナ希望ヲ持ッテイルノデスネ。」
ジェームズは盛んに感心しながら短冊を読んでいく。
「おかしやさんになれますように」
「せんそうがなくなりますように」
「おかねもちになれますように」
「おばあちゃんのびょうきがなおりますように」
子供の書くことでないか、と大げさに感心するジェームズを不思議に思いながら、悪い気はしない。
「デモ、コンナコト書イタラ、パパタチハ困ラナイノデスカ?」
「え、なぜ?」
突然聞かれても、ジェームズのとまどいが分からない。まさか、ひょっとして……。
違う、七夕はクリスマスとは違うんだ、ジェームズ!
(2004.7.8)
2005年07月03日
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「パパタチ困ラナイノデスカ?」と言われて分かりませんでした。ジェームズのとまどいの原因。そして最後の一文。やられました。面白いです。
七夕対決…完敗です。
柄にも無く感想書いてみます。
最後の展開は多少強引な展開にも見えましたが、実は日常のいろんな場面で目にかける自然なオチもののように感じました。爆笑ではないですが、ふっと笑ってしまいました。
また新たな作品楽しみに待っています。では。